1068人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、俺は先日めでたく2年生となった。
「おーい、行くぞー」
「ちょっ、待って。今凄い良いとこw」
「よし、置いていくな」
「俺の話聞いてた!?」
次の授業は移動教室だというのに用意もせずケータイを見てニヤニヤ笑っているコイツは、遠藤光太という。
ホモやバイが9割近くに上るこの学園で、俺と同じくノンケの奴。
ただ、腐男子らしく、生BLは見逃せないぜ!と叫んでいたし、今だって多分ネットでBL小説とやらを漁っているんだろう。俺には到底理解出来んわ。
それでもコイツは常識がある。
一応金持ちの分類の癖に父親が緩くて、小中は一般的な学校に居たらしい。だからどちらかと言うと俺と同じような奴。
ここの生徒は基本同性にキャーキャー煩いから、光太が居てくれて本当に心強い。俺は正常だって胸張って言える。
コイツが隣に居ると、安心する。や、変な意味じゃなくて。
明るくて馬鹿やれる友達が居る事って、こんな大切だったんだな、としみじみと思った。
「早くしろよ」
「わかってるわかってるw」
光太の気持ち悪い笑顔を見ながら、ああ平和だなぁ、と感じる。
――そして、その平和がこれから崩れてしまう事を、俺はまだ知らない――
_
最初のコメントを投稿しよう!