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カズミ先輩を見ても自然と涙は出てこなかった…。
ぼーっと眺めているうちに、卒業式が終わった。
あの日の屋上以来話していない。
これで忘れられる…。
何もかも…。
そう思っていた時、
カズミ先輩がやって来た。
「今までありがとう、部活楽しかった」
やめて……。
言わないで……。
「また会えたら一緒に走ろうな」
目が熱くなった。
涙が一気に溢れた。そして私はカズミ先輩の耳を押さえて「大…好きですよ…今まで…ありがとうございました」と言った。
カズミ先輩は耳を押さえて言われても分からないよと言った。
私は最後に精一杯の笑顔で笑ってみせた。
うまく笑えたかな…。
もう振り向かない…、私はそうしてその場を去った。
ありがとう。カズミ先輩。
見上げた空はあの日と変わらず晴れていた。
そして私は最後に泣いた。
これでお別れなのだと…。
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