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びっくりした。 だってその子はまさにクラスの人気者。 施設で育ったことなんて何も気にしてないみたいに、 すっごく明るくて。 そんな人が… 《私の名前を覚えている》なんて…。 びっくりして固まっている私に滝くんがもう一度呼びかける。 「あいちゃん???」 はっ!と我に返る。 ちょっとまって。 もしかして…。 ふわふわちゃんのこと、施設にバラされたら… 会いに行っちゃいけないとか…ならない? 私は咄嗟にふわふわちゃんを両手で包むようにして隠した。 「…なんでもない… あっちに行って…ください…」 滅多に人としゃべらない私が絞り出した言葉。 今考えれば、小学5年生の言葉とは思えない上に、 すごく性格が悪い。
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