出逢い

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───ヤバイ。 わたしは物凄く焦っている。今すぐ逃げ切らなければいけないのだ。何処へ行ってもいい。とにかく逃げなければ。でないと本当に大変なことになるかもしれないのだ。 今、わたしは“組織”に狙われている。理由は分からない。しかもその始まりが唐突なのだ。まず知らない男2人組がいきなり家に押し入り、拳銃を向けてきた。わたしはびっくりして男たちをバットで殴って家の外に出した。その時はそれで終わると思った。だがそれでは終わらなかったのだ!今度は男が3人組になって、わたしの後を執拗に尾行するようになった。そして3人が4人、4人が5人と男の人数は増え、知らぬ間にこの逃走劇が始まったのだ。 わたしは後ろを見る。誰もいない。途端に疲れがどっと出てきた。わたしはよろめきながら、近くにあった切り株に座る。そして改めて辺りを見渡した。─森の中だ。どうやらわたしは知らない所へ迷い込んでしまったようだ。何処から入って、どのルートで来たのかも分からない。先ほどまでわたしは非常に混乱していたから、道なんて分かる筈がなかった。しかし、それでは困る。このまま森の中で暮らすなんてことは出来るわけがない。何しろ手ぶらで来たのだ。食べ物も、敷物も何もない。どうやって帰ろうか。まだ帰るあてもないままおもむろに立ち上がった瞬間、ガサゴソと物音がした。
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