私だって、つらい。

2/26
前へ
/37ページ
次へ
ある日の夕方。 ミカは自宅のリビングでぼんやりとテレビを見ていた。今流れているのはニュース。内容はあまり頭に入ってこない。 ミカは学校では元気で明るく友達も多い。でもその反動か、家に帰るとぼんやりとしている事が多かった。 退屈なニュースを子守唄に、ミカは次第に重くなってくるまぶたをゆっくりと閉じた。 しばらくして目を覚ましたミカは、壁にかかっている時計を見上げた。この時間なら母親が夕食の支度をしている頃だ、と腰をあげテレビのリモコンを握る。しかしテレビの画面は真っ暗で電源は落ちているようだ。 ミカは、お母さんが消したのかな?と思いながらキッチンへ向かった。 キッチンに入ると夕食の支度をしているはずの母親は、胸の真ん中に包丁を突き刺して、真っ赤な血で床を染めて倒れていた。 ミカは目の前の光景が信じられなくて、どうしていいのか分からない。それでもやっとの事でポケットから携帯電話を取り出し、救急車を呼ぼうとした。 が、携帯電話の画面には"圏外"と表示されていた。 携帯がダメなら、家電だ!と、慌てて受話器を耳に押し当てるが"ピー"と無機質な電子音が流れているだけだった。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加