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電話をする事を諦めたミカは、二階の弟の部屋へ向かった。階段を駆け上がりドアをノックするのも忘れ、勢いよく開く。
ミカの目に飛び込んできたのは、天井のライトに縄をくくりつけて首を吊り、床から足を浮かせてぶら下がっている弟の姿だった。
ミカは喉に込み上がってくる気持ちの悪いものをその場で吐き出し、座り込む。
その時、一階の方から物音がした。続いてガシャン、と陶器が割れる音がしてミカの心臓が飛び跳ねる。
もうそろそろ、父親が帰宅する頃だ。父親はウッカリな所があるから、玄関にあった花瓶でも割ってしまったのだろう。そう思いながら、力の入らない足を無理矢理動かして階段を降りた。
やっとで玄関にたどり着くと、父親が割れた花瓶の破片を首に突き刺して、白目を剥いて仰向けに倒れていた。
玄関が真っ赤な血で濡れ、今もまだそれが広がっている。
ミカは助けを呼ぼうと家を飛び出した。いや、そんなのは建前で、家にいたくなかっただけだった。
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