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ふいに立ち止まると、目の前に一台の車が止まっていた。
エンジンはかかっていて、窓もドアもぴっちりと閉まっている。そして、丁寧にガムテープが貼られていた。
なんだか嫌な感じがした。いや、嫌な感じがしない方がおかしい。いやいや、これを嫌な感じだと思う方がおかしいと思うほど、自分はおかしくなってしまったのか。
とにかく、ミカは道に転がっていた金槌で車の窓を叩き割った。ひびが入って真っ白になったガラスをさらに叩く。
やがて崩れ落ちたガラスの向こうの、運転席、助手席、後部座席には二人、年齢がバラバラな男女がぐったりとしていた。
車の中から変なにおいがする。これは、排気ガス?
聞いた事がある、インターネットのサイトで募集を募って、集まって、集団で......死ぬ。そんなニュースを見た事がある。
......ダメだ。と、この人たちはもう助からないと判断して後ずさるミカの背後に、人影がゆらりと近付いていた。
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