Ⅰ 貴方は血を流す猫に会います。

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 するとそこにはガブリエルもよく見知った顔の三人が並んでいた。座っている一人を取り囲むようにして立っているのは言わずもがな、メイメイとメイゼルだが、二人の表情は先ほどとはまるで違っていた。  それは激怒を通り越し浮かんだ呆れすら越した、憤慨。兄妹は口を横に引き結び、長めの前髪から覗く瞳を怒りに染め上げ、目をつり上げている。  簡単に言えば、キレているのだ。 「やっぱ、あの二人に行かせたのは間違いか……」  そんな兄妹の怒りすら放ったらかして一人冷静にいるのは、黒い革ジャケットを着た少年。ガブリエルと同じピアスを右耳につけているのがよく目立つ。一人座っている彼は大きな銃を抱え、口にくわえているロリポップ・キャンディを転がした。  少年は【Mei-bbi】のマークが大きくプリントされたTシャツと、ベルトが上から下まで側面についている奇妙なズボンを履いている。上から下まで真っ黒な服装をした少年の装飾品は銀細工のネックレスや指輪などで、一口に言えばロックの服装だ。  外見に無頓着なことから、長めの金髪を後ろで適当に括っただけの低めのポニーテール。青い瞳は普段から怒って見えるほどつり目で、無表情が怒っているように見える、なんとも残念な顔立ち。  外見が華やかでパッと見明るく、性格的にもおおらかなメイゼルとは普段から反りがあっていない。そしていつも一言多い少年は、メイメイとも仲が悪い。  また何か少年が余計なことをいってしまったのだろう。  この暗い空気をどうしようかなぁとガブリエルが頭を抱えたくなっていると、ダリベアが十字架から降りた。そして傘を持っていない右手をぶんぶんと振り回し、お目当ての場所へと駆けていく。 「メイメイちゃーん!!」 「っ!? ダ、ダリ……!」  少年を睨み付けていたメイメイは、突然聞こえてきた声にぎょっとして此方を向く。少年に向けていた憤りはないものの、駆け寄ってくるダリベアに向けられた瞳には、恐怖が色濃く浮かんでいた。  しかしダリベアは怯えきったメイメイの様子など意にも介さず、メイメイに飛び付く。メイメイは叩かれた太鼓のように体を震わせると、今度は恐怖で硬直してしまう。 「相変わらずなつかれてんな」  メイゼルはダリベアの登場で緩んだ空気に便乗するように、少年を視界から外す。ガブリエルは四人のいる場所へ向かうと、一向に銃を仕舞おうとしない少年を見下ろした。
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