運命に翻弄される日

2/3
前へ
/896ページ
次へ
見慣れた人気の人通りの多い街に一人の若者と、黒い八枚羽を生やして宙に浮かんでいる男性がいた。見慣れた街のはずが高層ビルが崩れ落ち、辺りにはビルや木々が燃える姿や倒れている人達が多数見れる。 火災の中で小さな子供が親を呼ぶ声や、瓦礫に潰されて呻き声で助けを呼ぶ男性の声が聞こえていた。 若い男性は宙に浮かんでいる男性にここでまた何をするつもりだと言うと、宙に浮かでいる男性はこの世界も破壊して私の手中に収めると叫ぶ。 「そんなことはさせない! 俺が仲間達の分まで戦い続ける!」 若い男性がそう宣言すると、宙に浮かんでいる男性は地面に降りて若い男性に近寄る。 「天王寺ナツキと言ったか? お前の仲間は元の世界で既に死んでるかもな!」 天王寺ナツキと呼ばれた若い男性は、宙に浮かんでいた男性に俺はお前を倒すと刀を召喚して構える。 「お前が? 我を倒す? 笑わせてくれる……お前はそこの建物の陰に隠れている矮小な存在と同じだ! このアーリマンが殺してやる!」 そう言うと、建物の陰に逃げて隠れていた人達に右手を向ける。 「何をするつもりだ!?」 ナツキがアーリマン突進して行動を止めようとするも、遅いと言われ腹部を蹴られて吹き飛ばされてしまう。 そして右手を再度逃げた人に向けると、掌から直径五十㎝程の火球を飛ばした。 「やめろ! これ以上人を殺すな!」 地面に倒れながら逃げろと隠れている人に言うが、火球の速度が速いためにナツキの声が届く前に建物に隠れている人達がいる場所が爆発した。 「また人が死んだ……俺はまだ守れないのか……」 地面を何度も叩いて涙目になるナツキにアーリマンがお前程度じゃ我を倒せないと声色を低くして言うが、ナツキは刀を地面に刺して腹部の痛みを我慢して立ち上がった。 「俺は諦めない! 何度だって立ち上がってお前に立ち向かう!」 ナツキが諦めずに戦うと刀をアーリマンに向ける。 すると、アーリマンは翼を広げて魔法陣を多数空中に出現させると、そこから魔物や悪魔が出現する。 「俺は負けない……世界を救って皆を助けるんだ!」 叫びながら刀に魔法を付加させて走る。 これは理不尽な運命に立ち向かい、抗い続ける天王寺ナツキの物語である。 そして、時は数年前に遡る。
/896ページ

最初のコメントを投稿しよう!

280人が本棚に入れています
本棚に追加