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「だから、君に憧れてもらう資格はないよ。…逃げたんだ。俺は、おれはっ」
先輩をよくみると、自分で自分の体を抱き締めるようにして、かたかたと小さく震えていた。
俺がなんて声をかけていいかわからずに突っ立っていると、先輩は「ごめん、…もう行くから」と言って走り去ってしまった。
…まずい。
先輩を傷つけてしまったパターンだよな、これ。
どうしよう…でも。
やめたって、逃げたってなんのことだろう?
先輩、あんなに楽しそうにプレイしてたのに。
ペアのあの…誰だっけ、とりあえずペアのあの人ともすごく仲良さげだったし。
…とりあえず、謝らなきゃ!!
先輩を追おうと開け放された門をくぐると、ちょうど一年生らしき生徒たちがぞろぞろと体育館から出ていくのが見えた。
「…やば、入学式」
先輩の姿は、一年生たちにまぎれて、もうわからなくなっていた。
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