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携帯電話の着信音がなって梨塚英治は目をさました。時計を見るとまだ早朝の5時を回ったあたりだった。重い目をこすりながら電話に出ると母の知子からだった。 「あ、英治!朝早く悪いんだけど、今すぐおじいちゃんが入院してる市立病院まで来て!容態が急変したの!」 英治は驚きを隠せぬまま生返事を返し、電話を切った。母方のおじいちゃんで、末期の胃ガンで入院していた二三男は、英治の自宅から小一時間ほどの市立病院に入院していた。 最近はあまり体調がよくないとは聞いていたがあまりにも急だったため、しばらく布団のなかで固まってしまってした。 しかしすぐに我に帰り、服を着替え必要最低限のものを持って、電話を受けてから30分後に市立病院に向かって愛車のプリウスを発車させた。 空は暗い雲が覆っていた。
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