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咲は一男の元嫁で、ずいぶんと親戚一同からの評判が悪かった。結婚も反対したのがほとんどだったらしい。
以前知子から聞いた話によると、初めて親戚が集まったときから全員が、この子はなにかおかしいと感じたらしい。そして、それが確信とも言える事件が起こった。
ことの発端は、明美が一男から金を借りたことだった。
そのころ少々金に困っていた明美は一男に金を貸してくれとたのみ、一男はそこまで気にする様子もなく貸した。
しかし、それを返すのに時間がかかっているうちに咲はとんでもないことをしだした。
そこいらじゅうで、義姉さんのところにお金を貸したんだけどいつまでも返してくれない。あそこはおかしい、と言いふらし出したのだ。
それを知ったのは静が咲がいっているのと同じ病院にいったときに、看護師さんからきいたのだった。
それだけならまだしも、咲の長男の日向はまだまだ無名なものの子役をしているのだが、現場でご一緒した見ず知らずの人にまでこの事を言いふらしたらしい。
このことをきっかけに親戚一同離婚すべきだと主張した。
すると咲は、裁判を起こし賠償金をもらったあげくに、なぜか離婚したにも関わらずいまだに同居し子供を餌にまだ金をせしめようとしていたのだった。
もともと咲の父親自身が同じような人格であまり良い親に育てられなかったのも原因のようだ。
英治が高校生の頃の話なので、今年24の英治にも記憶に新しい話だった。
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