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「本当は…、別れたいんだ。」
沈黙を破ったのはわたしの大好きな声だった。
しんどそうに話すその声は、
本当に辛そうだった。
「どうして?」
「愛が、重く感じて」
ありがちな理由だな――
そんな冷めたことを考えていた。
付き合う際にどちらも同じ割合だけ愛があるとは思わない。
どちらかが必ず多くて、どの恋愛もそうだ。
重く感じさせない程度に愛を注いで、
相手の愛を掴むのが得策だと思っている。
…実際の恋愛となると、頭でわかっていてもできないのが破滅の原因だが。
わたしはいろいろ考えたが、無難な返しをした。
「重いって?」
「なんか…俺は会議で話してるからいいかなって思うけど、
そのあと通話したい、とかそれが毎日。
いや1週間に1回とかならいいけどさ…。
会議落ちてわたしと話して!とかね…」
遠距離恋愛の欠点は通話やチャットでしか言葉を交わせないことだ。
だから、そのぶん不安が倍増する。
最も女は相手の気持ちや時間を独占したいと思うらしい。
そこまで考えてわたしは精一杯考えた言葉を繋げた。
「相手もきもちが離れてるのを気づいてるとおもう。
ほら、なんとなくわかるでしょ。そーゆうのって。
だから、必死になってしがみついてるのじゃないのかな。
気持ちが離れてないならあれだけど、
気持ちが離れてるからそれを重く感じてるんでしょ?
なら、もう答えはロミオットさんのなかで出てるんじゃないのかな…」
そこまで話した時点でハッと我に返った。
ロミオットさんはわたしの5つ上の20さいだ。
それなのに…わたしは友達にアドバイスする感覚で話してしまった。
「――って、ロミオットさんもそれぐらいわかってますよね!
ごめんなさい。ものすごくえらそうで。」
恥ずかしくなって急いで言った。
男の人で、しかも年上だったのにこんなに年下の女に偉そうにアドバイスされたらプライドが傷つけられるじゃないのか。
そう考えてると知られた時点でプライドは傷つけているが。
少し沈黙があったあと、また沈黙を破ったのは向こうだった。
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