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いろいろな思考が一気にとまる。
ペットボトルを転がしている手も、思わずとまる。
その次に訪れたのは胸の高鳴りだ。
あぁ、わたし、うれしいんだ――……
たった2秒の沈黙がとても長く感じた。
向こうが焦り口調で口をひらく。
「か、勝手に俺、さっちゃんのこと妹だと思ってるし!!」
―――妹かよ。
あきらかに残念がる自分がきもちわるかった。
ペットボトルをまた転がしだす。
「あはは…―――」
笑って、その場が明るくなる。
なんだか、ものすごく近く感じるよ、ロミオットさんのこと。
もっと近づきたい。
ロミオットさんの焦りは、どこから来たのだろうか。
その焦りは、彼女にたいしてか、わたしにたいしてか……
どちらにせよ、
もっとわたし、近づけるよね――――…?
「そう思ってたんですか?あはは。」
他愛もない話をして、一時間で通話を終えた。
ふぅ…っと息をつく。
ペットボトルを触りすぎてへこんでいる。
考え事をしたり、しゃべったりしてる時、勉強はできないくせに何かを触っていないと落ち着かない癖だ。
わたしは、さいごまで妹ということを肯定しなかった。
肯定したくなかったからだ。
その意味、わかってますか―――?
そのまま、わたしは先輩にメールをうつ。
[ ごめんなさい。映画、一緒に行けません。 ]
送ると電源を消して布団にはいった。
頭のなかは、ふいにロミオットさんが言った、好きという言葉でいっぱいだった。
このときから、破滅へのカウントダウンは始まっていた。
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