言葉

3/3
前へ
/9ページ
次へ
あの日、 俺は委員会で遅くなっていた。 部活動に入っていないアンタと、 『家まで送って、一緒に帰る』 そんな約束をしていたから 急いでアンタの待つ教室へと、 足を進めたんだ。 それがそもそも… そもそも俺が急がなければ、 こんな傷つくこともなかったろうし、 アンタと、アイツの、 二人だけの秘密…それだけですんでいたかもしれない。 でも、アンタは、アイツと… 「嘉菜!ごめん、委員会で遅くな…」 ドアを開けようとした俺は、 不意に口をつぐんだ。 教室から、押し殺した女の声が聞こえる。 「…っと…はぁ、もっとぉ!!!」 「…んな無茶いうなよ、嘉菜。 お前、言ってるくせにすぐイクじゃねえかよ…」 「は、あ…ぅ、るさい…あぁ!!」 嘉…菜…? 声の主は嘉菜だった。 は…? なんで?嘉菜、なんで? ふ、ざけんなよ…!! 聞こえてくる息づかいが一層荒くなる。 俺は我慢できなくなって、 扉を開ける。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加