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培われた営業スマイルでニコッと笑い移動する。
後ろからデカい二人がコソコソついて来てるのは、完全無視の方向で。
正面から見て左手には大きな蔵が二つ、右手には道場なのか気合いの入った声と、沢山の暴れている足音がする。
さすがに一人で道場に入る勇気はなく、元来た道を戻って手前の蔵の前に立った。
「こういうのって余計に昔って感じするなぁ。」
中には蓄えとかがあるだけかも知れないけど、少しだけ覗いてみたいと思った。
扉に目をやると施錠されてなくて、重そうな黒ずんだ鍵がぶら下がっているだけだ。
引き寄せられるように真っ直ぐに進む。
「ほわー、やっぱ時代劇に出て来るやつだ。」
片手から両端がはみ出してしまう厳つい鍵を握ろうとしたら、
「待て!そこはっ!」
「入っちゃなんねぇ!!」
必死の形相をした左之さんと新八さんが駆けて来た。
どうして?なんて聞くまでもなく、ほんの出来心で困らせてやろうと思ったんだ。
二人がたどり着く前に邪魔な鍵をずらして、扉を開けてやった。
すると、
期待に反して、鼻が曲がりそうな篭った臭いがむわっと流れ出て来た。
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