色魔退散!

17/35
前へ
/412ページ
次へ
罵倒を背に浴びながら山崎さんはひた走り、隊士の人達がついて来ていない事にやっと気付いて降ろされた。 そして、 「あれ?履物忘れてますね。」 真顔で一言。 「今かい!」 本気で一発ツッコミ入れましたよ。 「まぁまぁ、私の草履で良ければどうぞ?」 そういう山崎さんも足袋じゃん。 って思ってたら、 「どっから出してんの!?」 懐から草履、袖の袂からも草履がニョキニョキと引っ張り出された。 どや顔の山崎さんにもう一回、 「あんたはマジシャンですか!?」 とツッコミ入れといた。 「まじしゃ~ん?何ですかそれ?」 「…語尾上げないでよ。ルパン三世の『不二子ちゃ~ん』だよソレ。」 「るぱん?ふじこちゃ~ん?」 「……いや、何でもない。江戸時代の人にイントネーション講座やってる場合じゃないや。…草履借りとくね。」 渡された草履を掴む。 ほんのり生暖かった。 「………。」 気持ち悪いとか口が裂けても言えない。 気を取り直して…っと。 さりげなく跪いた山崎さんの肩を借りてゆっくり履いていると、肩で息をする隊士達が四人追い付いて傍の塀に手をついた。 、
/412ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2281人が本棚に入れています
本棚に追加