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罵倒を背に浴びながら山崎さんはひた走り、隊士の人達がついて来ていない事にやっと気付いて降ろされた。
そして、
「あれ?履物忘れてますね。」
真顔で一言。
「今かい!」
本気で一発ツッコミ入れましたよ。
「まぁまぁ、私の草履で良ければどうぞ?」
そういう山崎さんも足袋じゃん。
って思ってたら、
「どっから出してんの!?」
懐から草履、袖の袂からも草履がニョキニョキと引っ張り出された。
どや顔の山崎さんにもう一回、
「あんたはマジシャンですか!?」
とツッコミ入れといた。
「まじしゃ~ん?何ですかそれ?」
「…語尾上げないでよ。ルパン三世の『不二子ちゃ~ん』だよソレ。」
「るぱん?ふじこちゃ~ん?」
「……いや、何でもない。江戸時代の人にイントネーション講座やってる場合じゃないや。…草履借りとくね。」
渡された草履を掴む。
ほんのり生暖かった。
「………。」
気持ち悪いとか口が裂けても言えない。
気を取り直して…っと。
さりげなく跪いた山崎さんの肩を借りてゆっくり履いていると、肩で息をする隊士達が四人追い付いて傍の塀に手をついた。
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