色魔退散!

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「置いてかないで下さいよっ!」 大の男が半ベソだし。 「怖かったんですよ!?」 「沖田組長が刀抜き出してっ!」 「原田組長と永倉組長が押さえ込んでくれなかったら、どうなっていたか!」 四人は顔面蒼白でぶるぶるっと震えた。 その図が目に浮かぶよ… 苦笑いでごまかすあたしと違って山崎さんは、 「あなた達の誰かが斬られていたら沖田さんは切腹になったのに…残念でしたね。」 心底愉しんでいる。 優しいんだか怖いんだか…やっぱり山崎さんは掴み所がない。 てか意地悪な時の眼が凄く危険でヤバイ感じだ。 「あなた達は早く息を整えなさい、置いていきますよ。さ、藤堂さん行きましょうか。」 「…了解です。」 今は言う事を素直に聞いておかないと、見知らぬ土地に放り出されそうな気がした。 早足で前を歩く山崎さんに遅れないよう、不慣れな草履でついて行く。 時代劇と同じ景色に少しでも見取れようもんなら、すぐに距離が出来て後ろの隊士にも抜かれる。 最初から見廻りに付いて行けず、競歩と小走りを繰り返すだけのあたし。 山崎さん達はしっかり辺りに眼をやりながら、時々色んな人に話しかけている。 次第に噴き出す汗を拭いながら、警察(マッポ)は昔も今も大変なんだなぁなんて他人事みたいに考えてた。 、
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