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けどやっぱり時々感じる侮蔑と怯える視線が痛い。
ヒソヒソ聴こえる陰口が、異様に大きく耳に届く。
『人殺しが』
『田舎モン風情が』
『壬生浪(ミブロ)め』
それを聞き流し平然と歩く姿は、凛々しくも有り逞しくも有り…
まだこの人達と何の絆がある訳でもないけど、凄く…悔しくて。
昨日の命懸けの戦いはそんなに非難されるものだったの?
皆の安全を守る為に悪人を裁くのは必要なんじゃないの?
人殺しを容認出来ないのはあたしも同じだけど…
でも、一生懸命な気持ちや正義を貫こうとする姿勢は、真っ直ぐに伝わってくる。
だからそんなに責めないで欲しいな…
気持ちが小さくなると自然に歩幅も狭くなった。
トボトボと下を向いていたら、突然目の前に現れた下駄に気付くのが遅れた。
「あだっ!」
堅い板にぶつかった衝撃で旋毛とおデコの間がめっちゃ痛い。
「す、すみませっ、ん?」
相手は倒れなかったけど、あたしの方がクラクラしてよろけてしまった。
すかさず掴まれた腕。
「あ、ありがとう。」
大きな手の人を見上げると、
「なにやってんの?」
馬鹿にして鼻で笑ってるイケメン君がいるではありませんか。
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