色魔退散!

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さっきの男もそうだけど、山崎さんも二重人格の疑い有り、だ。 「…ちぇ、踏んだり蹴ったりだよ…。ん?泣きっ面に蜂か?」 状況的に大して違いのない諺(コトワザ)を呟いて、まだ疼く頭を摩る。 「何ブツブツ言うとんのや。ホンマにこれやさかい女のお守りは…」 溜息の後、歩き始めた山崎さんがピタッと止まった。 「あっこ。」 「?」 突然指して知らせて来たのは、暖簾に串団子の絵らしきものが描かれた店だった。 「食べるんやったら寄ったるで。」 作り笑顔すらなく不機嫌なままで言われても… 「…要らない、お腹空いてないし。」 今の雰囲気で御馳走になるほど、肝っ玉は太くないよ。 それに、 『お守り』だなんて、『お荷物』って言われてるのと一緒だもん。 自分達が平助の代わりを頼んだ癖に… 引き受けた以上口に出せなくて、不平や不満は飲み込まざるを得なかった。 ここでのあたしは立場も弱い。 悔しいけど認めなくちゃいけないんだ。 その後、山崎さんに付いて行った先で他の隊士の人達が待っててくれたけど、あたしはごまかしながら愛想笑いをするだけで精一杯だった。 、
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