色魔退散!

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その余裕がまた悔しくてムカついて… 「馬鹿にすんな!エロ親父が!!」 何でこんな嫌な思いをしてまで、『平助』でいなきゃいけないのか解らなくなった。 悪態ついて最後に一睨みだけして部屋を出る。 廊下をドスドス歩いていたら何人かの男達に挨拶されたけど、皆あたしの顔を見るなり端に避けて道を譲ってくれた。 門を抜ける時も門番らしき人が、何かを言いかけて止まった。 それにお構いなしで飛び出して、知ってる道を歩いてみる事にした。 とりあえず池田屋まで行ってみよう。 帰れるヒントがあるかも知れないし。 用心の為に左手は刀を握り締めて進む。 するとその内、仕事を終えた総司さん達が前から騒々しくやって来た。 見るなり満面の笑顔だ。 「平助~!逢いたかったですよ~っ!山崎さんに何もされませんでしたか?それだけが心ぱ……あれ?…どうかしましたか?」 駆け寄って抱きしめて来た総司さんは怪訝な顔をされた。 「別に!何でもないしっ、ちょっと離してよ!!」 完璧な八つ当たりだけど、この人だって最初っから変に優しくて、ベタベタベタベタしてくる幹部の一人だし同類でしょ。 隙あらば、なんて腹の底ではイヤらしい事考えてる癖に!! 身動(ミジロ)ぎして密着した体を突き放すと、急に困った表情をして。 「本当に…何かあったんじゃないですか?…私で良ければ話して下さいよ。」 、
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