色魔退散!

34/35
前へ
/412ページ
次へ
喧嘩になってどちらかが敗者か勝者になる。 エスカレートして勝者が敗者に尚も痛みと苦痛を与えるのは、未来でも同じ事。 それで死に至るケースもある。 やんちゃだったあたしがこの時代に来るまでそういった残虐な場面に出くわさなかったのは、幸運だったのだろうし自分自身が最低限のラインを越えないように、自制と言う名のブレーキが掛けられていたからだ。 だけどここでそれが通じないのは、昨日の事件もそうだしあたしが『平助』でなくとも、刀を渡された時点で解る事だった。 例え正当防衛であったとしても、いつか人を殺す日が来たんだろうし、逆に殺される日が来てもおかしくない。 つまりは今がその時なのだろうと思った。 男として戦う喧嘩なら、死にたくはないけど受けて立つ。 でも、もし暴行しようとしているなら…あたしは秘密を守る為にこの二人を… 武者震い、だろうか? 覚悟を決めて身構え刀を抜こうと握った途端、体が奮え始めた。 「おっ?抜くのか?大丈夫かよ、チビリそうなんじゃねえの?」 「こいつ、ビビって震えてやがる。」 馬鹿にした笑い声が前後から響く。 そうだよ、怖いよ。 これは人を殺す道具だから。 いつも通り木刀みたいに振るっても傷を負わせるだけじゃなく、簡単に命を奪ってしまう恐ろしい武器なんだよ。 「ヒャハハ、そっちがその気なら、ちっとばっかし遊んでやるか。」 「丁度退屈してたところだ。さっくり終わらせてその後は…たっぷりと相手してやろう。」 、
/412ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2281人が本棚に入れています
本棚に追加