奇跡は突然やって来る。

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「やだっ!置いてかないで!!」 窓枠から上半身を乗り出して叫ぶと、新八さんと呼ばれていた最初に庇ってくれた大男は、既に地面に足をつけていて、手前にいる左之さんって人が振り向いてくれた。 「ったく、なんつー情けねぇ声出してんだ。」 呆れながら不安定な足場を直ぐに引き返してきて、 「これ着てろ。」 自分が着ていた青い羽織りを、あたしの肩に掛けながら、 「これ着てる奴は皆俺達の仲間だ。詳しい事は後で聞くから、今は総司を頼む。」 小さな声で囁くと身を翻して、さっさと下へ飛び降りて行ってしまった。 血のついた羽織りなんていらないんだけど、どうやら素直に言う事を聞いておいた方がよさそうな気がした。 そうと決まれば大きな羽織りに腕を通し、両頬をパンパンと二回叩いて、総司って人のところへ行き傍に座る。 近藤さんて人は彼を腕に抱いたまま、オロオロしているだけだ。 「ちょっと見せて下さい。」 「藤堂君…その姿は?」 今更な質問だったからそれは無視して、総司って人の顔色を見た。 整った顔を真っ赤にさせて、呼吸が異常に早い。 熱が出ているのかと、おでこや首を触ったら目茶苦茶熱かった。 「高い熱かなぁ?早く冷やさないと。」 「その格好…まぁいい、熱とは…風邪か?」 「わかんないけど…でもおかしいんだよね。ただでさえこんなに汗かくのに、熱が高い人がちっとも汗かいてないなんて…。」 考えている間に外は騒がしくなってて、階段を駆け上がって来る足音が響く。 、
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