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『善い人』だ、と思う。
総司さんの優しさは何処と無く‥‥蓮司に似ている気がする。
「競争率って‥‥ちょっと違うんじゃないかな?だって今まで隊士の中に異性がいなかったんでしょ?全く意識しない方が難しいんじゃない?好き嫌いの問題じゃなくてさ。」
長い時間を男だけの集団で暮らしていたのに、いきなり女が一人混ざれば自然と意識して当然だ。
あたしは孤児院で男女関係なく育った環境があったら、反対に『女の子扱い』が息苦しいと言うかこそばゆいと言うか‥‥どう振る舞えばいいのか混乱してる。
だけどそうさせているのは全部あたしのせいだと思う。
孤児院であれだけ鍛えられ喧嘩に明け暮れていた時期もあっても、この時代の喧嘩は常に殺し合いを意味しているから心も体も付いてけなくて。
皆もそれが解ってるから、弱者であるあたしを庇護対象として見ざるを得ない。
『守りたい』と言わせてしまう事が僅かばかりのプライドを傷付けられているとか‥‥
弱い自分が情けなくて、女である事がこれだけ煩わしく感じたのは初めてだった。
「雅さんは女である自分が嫌いなんですか?」
心の中を読み取られた気がして、露骨に顔が歪む。
それが返事と受け止めた総司さんは、悪気なく『クスッ』と笑った。
「そんな風に変に意固地なトコも気が強いトコも、平助にそっくりなんですね。」
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