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「くっ、‥‥ひっ、く‥‥離せ、バカ‥‥嫌い、だっ‥‥‥‥あんた達、ひっく‥‥なん、か‥‥嫌いだっ、うっ‥‥うう‥っ‥‥」
「‥‥嫌いでいいです。私が悪いのならいくらでも謝ります‥‥でも今は‥‥後生ですから落ち着いて下さい。」
死に物狂いで力の限りあがらい胸に拳を何度も叩きつけて、子供みたいに泣きじゃくる。
いつまでも止まらない涙と嗚咽が、頭の芯を揺さぶり生きる希望すら奪ってゆく。
「あた、‥‥あたしっ、うう‥‥あたしなんか‥‥ひっ、く‥‥あの、ま、ま‥‥‥‥死んじゃ、えば‥‥良かっ‥‥!」
その時、潜んでいた小さな悪魔が、枯れて崩れそうな心に囁いた。
『つーかまえたぁ』
本当は総司さんが『ゴメン』と呟いただけなんだけど、それは全く耳に入っていなくて。
首に激しい痛みが走るなり、脳が揺れ視界がぼやけた。
闇が全てを覆い尽くす。
あたしがあたしで有り得ないと言うのなら。
‥‥ああ‥‥もう、このまま‥‥
楽になれたら‥‥いいのに‥‥
ずっと、泣いていた。
これが夢か現か、生きているのか死んでいるのか‥‥何もわからないのに。
ただ、泣いていた。
暗闇に引き摺り込まれて、あやふやな意識すら溶けて消えそうな感覚に襲われる。
誰かの名を呼び、誰かの手の温もりを求め、誰か側にいて欲しいと願った。
誰もいない‥‥誰も。
高く伸ばした手を握ってくれる人は、誰も。
静かにゆっくり、永遠に堕ちてゆくだけ‥‥
いつか叶う日はくるんだろうか?
あたしを必要としてくれる誰かの元へ‥‥‥
、
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