天衣無縫(テンイムホウ)

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「やあ、もう大丈夫なのかい?」 お風呂らしき所に着くと、井上さんが目尻を下げ皺を増やして微笑む。 「はい、何とか。」 ヘラッと笑い返すその横に真顔のチンチクリ‥‥違った、山崎さんがいる。 「着替えは後から新八達が持って来るから受け取ってやってくれ。源さん、山崎、くれぐれも頼むな。」 「任せとけ。」 「承知しました。」 「じゃあな、みや‥‥平助、心ゆくまで綺麗にして来い。」 「うん、ありがと。」 土方さんが去り井上さんに案内と説明をされて、早速入ろうとしたら山崎さんが咳払いをして注意を引こうとする。 「‥‥何?」 「あ、いやな‥‥あんま長風呂したらあかんで。」 「わかってます、バレないうちにさっさと上がれってんでしょ。」 つっけんどんに言い返せば、 「ちゃうわ、阿呆。患部をあっためんなっちゅうとんのや。」 と、不機嫌そうに答えた。 「‥‥子供じゃないんだから、それくらい言われなくても知ってますよーだ。」 プイと顔を背けて戸板を閉めたら、クスクス聞こえる笑い声。 二人は何か話してたみたいだけどそれは放置して、脱ぎにくい着物を着た時とは逆の順で脱いでいった。 「ふうー‥‥」 無事入浴を済ませ置いてあった着物に着替えたけど‥‥湯文字って下着の着け方が解らなかった。 仕方ないから試行錯誤して適当に巻いて縛ったら、モコモコモゾモゾ違和感で気色悪い。 サラシはねー、経験有りだから何とかなったけどさ。 しれっとお風呂でおパンとブラは水で手洗いしたけど、何処に干せばいいのやら‥‥ 「お待たせしました。」 ひょっこり顔を出すと、何故か二人は唖然呆然としてあたしを見ていた。 「ん?どうかした?」 小首を傾げ近付くとどっちの顔も少し赤い。 着物の着方が変なのかな? 右に左に体を捻り自分の姿をチェックしてみたけど、どこにもおかしなとこなんてないし… 、
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