天衣無縫(テンイムホウ)

25/42

2279人が本棚に入れています
本棚に追加
/412ページ
「ぐっ‥‥これにはのっぴきならねえ事情があるんでぃ‥‥」 「‥‥誰の真似やねん。」 かなり真面目に答えたつもりが動転して、べらんめえ口調になってしまった。 「ともかく!これはあたし個人の問題なのっ!ほっといてよ!!」 逆ギレ気味に横を擦り抜けようとすると、胸元に違和感があって。 あれ?今‥‥ 胸に手を当て膨らみを確かめ、懐に突っ込んでまさぐり探す。 な、な、な、ないっ!? ぐるんと振り向き山崎さんを見て目を疑った。 びろーーーーーん 惜し気も無く広げられたおパンとブラ。 「げ!?」 「どうかしたのか‥‥‥い?」 タイミング悪く心配して入ってきた井上さんが、一瞬眉を潜めた。 「何だい、それは?」 「未来のサラシと湯文字やて。」 「ああ、そうなん……は?女子の?」 あんまり当然のように言うから軽く頷いていた井上さん。 タイムラグが生じた後で下から上へと真っ赤に染まる。 その様子を見せられている本人の身にもなって欲しい。 「か、返して!」 手を伸ばす度ヒラリフワリと素早くかわされ、そうする内に人が集まる気配がしてきた。 焦るあたしは両手を広げて端へと追い詰める作戦をとったものの、またいつの間にか山崎さんの手にあった下着が消えている。 「ちょっと!どこにやっ」 「コッソリ干せばええんやろ?見つからんように俺がやっとくさかい、預らしてもらうで。」 そう言った山崎さんの胸がポッコリ膨らみ、生地もじんわりと濡れていて‥‥ 「下着泥棒!」 「阿呆、泥棒違うわ。預かる言うたやんけ。」 「預けるなんて言ってない!」 「ごちゃごちゃ言いなや。こないなもん干しとるトコ、他の隊士に見つかったらどないすんねん。ちゃんと返したるさかい、」 「どうかしたのか!?」 「平助!無事か!?」 飛び込んで来た声は左之さんと新八さんのモノ。 目線を二人にちょっとだけ移して元に戻した時には、そこに山崎さんはいない。 ーーーーうっそぉーん!? キョロキョロ見回す挙動不審なあたしに井上さんが、 「あの人はすばしこいんだよ。口は悪いけど親切のつもりらしいから、許してやってくれないかね?」 赤い顔したまま苦笑いを浮かべた。 、
/412ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2279人が本棚に入れています
本棚に追加