天衣無縫(テンイムホウ)

27/42

2279人が本棚に入れています
本棚に追加
/412ページ
ほら、そんな中途半端な顔するから……こっちまでつられて頬が引き吊ったじゃん。 しかもめちゃくちゃ気ぃ使っちゃって、 「……本当にすみませんでした。…首は痛みませんか?」 「あははー、迷惑かけちゃってゴメンね~?あ、もうね、走り回れるくらいには元気だからさ~」 「……そう、みたいですね‥…良かった。」 「そうだよー、だから気にしないでね~」 よそよそしい口調で嘘までついてしまった。 だってこの人、何か告白めいたこっぱずかしい事言ってたんだよ? 思い出したら緊張しない訳ないでしょ。 その上ハズい失態までまんまと見せちゃったし…… 早くこの場を立ち去るべく、 「あ、そうそう!迷惑と言えばさ、二人とも山崎さん見なかった?」 早口でまくし立てると、 「‥…いえ、こちらには来てませんよ。」 「山崎の野郎、また何かしやがったのか?」 土方さんが眉を寄せた。 「あの人ねーホンット、最低最悪なんだから!あたしのおパンとブラ」 勢いでチクりかけてハタと我に返る。 何を言おうとしてんだ、あたしは。 理由を話してもし他の誰かが奪い返してくれても、余計な恥かくだけじゃね? 思い直して、 「あは、あは、やっぱ何でもないっス!お話し中失礼しやしたー!」 誤魔化したんだけど、 「待ちやがれ。」 土方さんの厳しい声に引き留められた。 、
/412ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2279人が本棚に入れています
本棚に追加