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四面楚歌は辛いモノ。
だけど、好意を持たれて囲われたこの状況は…
『四面胸板』
新四字熟語が完成した瞬間だった。
ーーー男臭い!
じゃなくて、恥ずかしさの中に鬱陶しさも有り…
「ちょっ、あんた達、ちょい待って!何でスクラム組んでんの!?おかしいでしょっ、ねえってば!」
辛うじて中央に空いた穴を見上げ四つの顔に訴えると、
「すくらむ?何だそりゃ。」
「未来の言葉なんじゃないですか?」
「あー成る程、って、和んでる場合じゃねぇ。おめえら離れろ気色悪りぃ。雅が飯食えねぇだろうがよ。」
「んな事言って自分だってまだくっついてんじゃねぇか。あんたらコソコソと何やってたんだよ?」
「特に何もしてませんけど強いて言うなら、土方さんが雅さんを独り占めしようとして、わたしがそれを阻止していただけです。」
「あ?違えだろ?おめえが雅泣かしたんだろうが。」
「なにぃ!?総司てめえ、よくも泣かせやがったな!」
「暴力だけじゃ飽き足らず今度は泣かせたのか!?お前本当に最低だな総司!」
「土方さーん、余計な事言わないで下さいね。誤解は解けたんですから…ねえ、雅さん?」
「……………。」
ーー散々だ。
散々自分らの好き勝手喋くって、お風呂でやっと綺麗にした人の顔に唾撒き散らしといて…何吐かしやがんだ、このアホ共は。
しかも密着され過ぎて中の空気、めっちゃ薄いんですけど!?
ツンと顔を背ける事すら出来ず、無反応で知らんフリしてやると、
「…まだ怒ってるんですか?」
シュンとした声が胸に響く。
もうヤダ…エンドレスばっかり…
とにかく皆離れて欲しい。
どうかあたしに、ご飯を食べさせて下さい…
「…怒ってないけど、いい加減離れないとキレちゃうかも。」
低い声で呟くと、皆は何故か溜息つくやら小さく笑うやら……
「一時休戦って事でいいですか?」
総司さんの一言で四人は一斉に離れて行った。
溜息つきたいのは、こっちだっつーの。
ドッと疲れが押し寄せ、これ見よがしに盛大な溜息をつく。
落ち着いたところで左之さんが、
「取り敢えず飯食えよ。んでその後は薬飲め、な?」
机に置かれたお膳の前まで、背中を押して連れて行ってくれた。
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