天衣無縫(テンイムホウ)

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皆の視線に晒されながらも豪快に食べ尽くした後は、この世のものとは思えないほどの苦い粉薬を飲まされて、せっかく美味しく頂いたご飯をリバースしそうになった。 「な、何コレ…」 口に残った後味の悪さに手で押さえて堪える。 「吐くんじゃねぇ、打ち身に効く薬だからな。」 「石田散薬って言うんですよ。土方さんのお勧めです。」 「まっずいんだよなー、ソレ。」 「うるせえ、良薬口に苦しだ。」 「苦いだけなら我慢もするが、クソが付く程不味いんだよ。」 「なにぃ?」 新八さんの正直な感想に、土方さんは一気にご機嫌斜めだ。 「まあまあ、飲めばマシにはなりますから…今は痛みませんか?」 仲裁に入った総司さんは、申し訳なさそうに項に触れた。 驚いて肩がピクリと跳ねる。 「あ、うん。急に動かさなければ痛まないから大丈夫、だと思う。」 …あんた達が騒ぐから、今まで痛みも忘れてたよ。 自分が走り回っていたのは、都合良く棚に上げておく。 ……って、いつまで触ってんだ? くすぐったくて身を捩ると、そこには真っ直ぐな瞳があたしを捕らえていて。 「…本当にすみませんでした。今日はもう部屋に戻ってゆっくり休んで下さいね。」 限りなく優しい声色で、さり気に手を掴む。 「ていっ!」 その手を素早く叩き落とした新八さんが間に割って入り、背後からは左之さんがあたしの両肩を支えた。 「「油断も隙も無い!!」」 「全くその通りだな。ほら、空いた膳はお前が片して来い。」 二人がハモった直後総司さんに突き付けられたのは、あたしが食べた後のお膳だった。 「や、それは自分で運ぶよ。源さんにお礼言いたいし。」 、
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