天衣無縫(テンイムホウ)

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『そこは触れないで欲しい』と視線で訴える。 意味を理解した井上さんは『しまった』という顔をして、赤らんだ頬を隠した。 …井上さん、いいおっさんなのに純情だなー… あたしの方が恥ずかしいハズなのに、何故か心がほんわか緩んでゆく。 そこに、 「そう言えば…山崎さんを探してましたよね。あの人何したんですか?」 ーーハイでました、空気が読めない色男。 悪気ない瞳で『ん?』と柔らかく微笑むのは反則だ。 もし総司さんが未来に行ったとしたら、剣は振るえなくてもホストで充分やっていけるんじゃないかな…? それは土方さんや左之さんにも言える事だけどね。 「何でもない何でもない、それよりさっきのは何?漬物?」 「え、ええ、茄子や胡瓜、大根なんかを漬けてるんですよ。」 「へー、井上さんは何でも出来ちゃう人なんだねぇ。」 「いやあー、褒めてももう何も出ないよ?」 二人でわざとらしく話しを逸らしたせいか、総司さんの眉間にシワらしきものが見えた。 「…源さんは良くて、私には教えられないんですか…」 ちょっと黒いオーラが見えるのは気のせいじゃない。 「…いいですよ別に、本人に聞いてきますから。」 「え!?ちょっ、ちょっと!」 踵を返して足早に去る総司さんを、慌てて追い掛けるハメになった。 、
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