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「ねぇ…今赤い顔した可愛いあなたは『平助』?それとも『雅』さん?」
逃げ場を両腕で塞がれ、イケメン顔が超ドアップで迫る。
「う、あ…」
ーー近い近い近いいぃっ!!
掛かる吐息に眩暈がしそうだ。
「…さっきも言いましたけど、その顔…私以外に見せないで下さいね?襲ってくれと言ってるようなものですから。」
そして顎を持ち上げられ…
や、やられちゃうーー!?
ギュッと目を瞑った瞬間、
「うおりゃあああーーっ!」
「どすこーーーいっ!!」
「うわっ!?」
奇妙な掛け声と共にもたれていた障子が勢い良く開いて、倒れそうなところをガッチリと受け止められた。
「「総司いっ!何してんだテメエはっ!!」」
見事にハモった二人はいつもナイスタイミングで助けてくれる、救世主的なお兄様方だ。
「左之さん!新八さんっ!」
心底ホッとしながら抱き締められた胸に身を委ねる。
「チッ、来るのが早いんですよ、金魚の糞。」
「ああん!?今何つった!?このど助平がっ!盛ってんじゃねぇぞ、ゴラァ!!平助と寝んのはこの俺だあっ!」
……はい?もしもし?
「冗談はその不細工ヅラだけにして下さい。」
「誰が不細工だっ!ちっとばっかし俺より造りがいいからって、調子に乗んじゃねえ!」
顔を突き合わせた総司さんと新八さんは指の関節をゴキゴキ鳴らし、まるでヤクザの抗争が始まりそうな雰囲気だ。
止めたいのは山々だけど、体格のいい二人がやるステゴロの間を割って入る程あたしも馬鹿じゃないし、新八さんも同類みたいな発言したから助ける気力はみるみる失せてしまった。
「さぁお前はこっち来とけなー、あいつらの病が移るぞー。」
それは左之さんも同じだったらしく…いがみ合う二人は放置で、あたしの肩を抱いたまま静かにフェードアウトして消えた。
ーーだ・け・どーー
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