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「何でこうなんのーーーっ!?」
魔の手から救出されたハズなのに、今のあたしは何故か拘束されている。
「気にすんな、黙ってゆっくり寝てろ。」
「誰にも手出しはさせねぇからな。」
正しく状況説明すると、例によって土方さんの部屋の隅で衝立に隠れるように寝てるんだけど。
布団に入った後、土方さんと左之さんはさも当たり前のように、両サイドで添い寝を始めた。
しかも布団の上に乗っかられてるもんだから、身動きも寝返りも打てない。
外部から守ってくれてるというよりも、あたし自身が見張られてる感じだ。
「寝ろったってこれじゃ…」
「いいから眼ぇ瞑れ。」
「心配しねぇでも、夜が明けたら起こしてやるよ。」
「うー…」
右も左もイケメンが片肘付いてジロジロ見てんのに、一晩中ブサイクな寝顔を晒す図太い神経は持ち合わせてないんだけどなぁ。
でも真上の天井ばっかり眺めてても仕方ないし、掛け布団を頭まで被って眠るしかなかった。
「「おやすみ、雅。」」
甘く囁く声がして、布団の上から子供をあやすような振動が伝わって来る。
ーーー懐かしい、感覚だ。
「……おやすみ。」
一応ね、この二人なら何と無く寝込みを襲わないだろうくらいの程度には信用してる、つもり。
でも昨日土方さんはこの部屋を夜だけ、あたしに譲るって言ってなかったっけ?
フと疑問が頭に浮かんだけど…
薄っぺらいけど暖かな布団と小気味好いリズムがすぐに瞼を重くして、その後朝までマジ爆睡をかましてしまった。
そして、朝。
息苦しさに目覚めるとそこには…
「な、何じゃコリャーー!?」
一悶着どころかどんな大騒動があったのか、あたしの寝ている布団の周りは、顔を腫らした男どもの無残な死体が積み重なっていたのだった。
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