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そう言ってお箸を置いた斉藤さんの前には、お皿や椀がてんこ盛り。
だはーーっ!こっちが胸やけするわ!!
明らかに食べ過ぎなのに、けろっとしてお茶を啜っている姿は、頼もしいと言うより驚異を抱いた。
早食い選手権…いや、大食い選手権もイケるかも…
うん、きっと斉藤さんは『胃下垂』なんだろうなー。
「…いや、そんなに食欲がなくて。…良かったら食べる?残すのも勿体無いし…」
勝手に自己完結して団子の残りを勧めたら、ちょっと眉間にシワが寄る。
「…甘味は苦手だったのか?」
「え、何が?」
「いや…こちらの話しだ。」
「……?」
聞き取れなかったけど曖昧に濁されて、伸びて来た手がお皿を掴む。
勿論それもあっという間に胃袋へ消えたんだけど、この微妙な空気の理由がわかったのは屯所に帰ってからだった。
空が茜色に染まる頃やっと帰れる事になり、痛む足に鞭打ち最後の力を振り絞って歩いた。
到着するなりウンコ座りになったあたしを、引きずってでも土方さんの部屋まで連れて行こうとする斉藤さん。
「やだー、行きたくなーい!報告なら斉藤さんがすればいいじゃないよー!」
いつまでも抵抗していると、
「…勘違いするな。俺はあくまで付き添いだ。報告はお前の義務だろう。」
冷たく言い放ち、右腕一本であたしを小脇に抱える。
「はーなーしーてーっ!!」
手足をバタつかせてもビクともしないのは、昼間食べた甘味パワーのせいなのか?
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