2279人が本棚に入れています
本棚に追加
/412ページ
土方さんに不評を買った奇妙な動きってのは、肘と膝をついた四つん這いの格好で額を畳みに擦り付け、手足をバタつかせた状態。
「……ほっといてよ。…それよりさ報告は斉藤さんがしたも同然だから、あたしも部屋に帰らせてもらっていい?」
アホな言動を反省しつつ、無駄な体力を使った自分に憔悴する。
ーーもう限界じゃあーっ!
プルプル震える足に力を篭めて立ち上がると、土方さんは噴き出してから支えてくれた。
「それは構わねえが…お前、今日はちゃんと昼飯食ったのか?フラフラしやがって。」
弱りきってんのは履き慣れない草履で、日がな一日歩かされてるせいだよ。
…なんて、この先も続くであろう災難を思えば、今更不満のひとつすら言えず…
「食べたよ?斉藤さんが甘味屋さんに連れてってくれて…」
と、あの大食いを思い出す。
そしたら土方さん、
「そうか、良かったな。どうだった?美味かったか?」
って、何故か凄く嬉しそう。
「うん、美味しかったよ。土方さんにもお土産に買ってくれば良かったね。」
「いや、俺はいつも『あの店』で食ってっから要らねえよ。」
…あの店?
今の言い方って、まるであたし達が行った店を知ってるような感じだ。
「『あの店』って…土方さん、何であたし達が行った店知ってるの?」
不思議に思って尋ねたら、
「ああ、それはな…」
ニヤッと笑って種明かしが始まった。
、
最初のコメントを投稿しよう!