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…や、ヤバいよこれはっ!
でも解ってるのに避ける事が出来なくて…
テレビドラマのキスシーンみたく、スローモーションで時間が流れてゆく。
そして少し傾いた唇が触れ
「…………」
…る寸前で動きが止まり、軒先を斜めに見上げた土方さん。
「?」
つられて見るとそこには、
「うっわあ!?」
逆さまにぶら下がってる山崎さんがいた。
ーーま、またかあっ!!
逆さ首に驚き、障子へぶつかる位ナイスリアクションでぶっ飛んだあたしと違い、
「…………」
「…………」
二人は暫く無言で睨み合う。
だけどあたしはそれどころじゃない。
ビ…ビックリしたビックリしたビックリしたなあもうっ!!
二度目の生首にまだ慣れるハズもなく、跳ね上がった心臓を鎮めるのに必死だった。
「…また覗き見か?いい趣味だな。」
口火を切ったのは土方さんで、
「違いますよ。私は藤堂組長に届け物があったので、声をかけようとしただけです。」
冷静に返す山崎さんがくるりと一回転して、あたし達の前に降り立った。
「届け物?」
その手には確かに小さな風呂敷包みがあって、キョトンとするあたしに差し出される。
「お待たせしてすみませんでした。預かっていた物です。ついでに似たような形で数枚作ってみましたから、よろしかったら試してみて下さい。」
「へ?」
、
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