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そりゃもう、ムカついてムカついて。
口には出したくないから、さっきよりは強烈な頭突きを食らわせた。
「ぅ…」
鳩尾にね。
ちょびっと苦し気に漏れた声はしっかりあたしの耳に届いて『ざまあ』と睨み上げたら。
「…そんなに甘えられると照れますねぇ。」
「ぶふっ!?」
反撃の両腕が頭をギュウギュウ抱き締めて来て、山崎さんの胸板へと顔面を押し付けられる。
「………………………ムガァー!!いつまでやっとんじゃいっ!」
息苦しさでバタバタ藻掻き暴れているところを助けてくれたのは、
「あーっ!」
「ドサクサに紛れてっ」
「何やってんだ!」
「こんにゃろう!!」
この煩い人達では無く、
「…山崎君、可愛がるのも程々にしないと、嫌われても知りませんよ?」
苦笑いをした山南さん。
これが可愛がってるように見えるなら、山南さんの眼鏡は度数が合ってないんだと思う。
力が緩んだ隙に肘で押し退けると、ポンと放って寄越されたのは例の風呂敷包み。
ギャーギャー騒ぐ声の中、
「見られたないなら、早よしもうとけや。」
ボソッと耳打ちされた。
「……うん。」
優しいのか意地悪なのか、この人だけは本当にわからない。
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