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とにかくこれで一安心。
…何て思うのは甘かった。
渡された風呂敷包みを大事に抱えた途端、
「それ、本当に何が入っているんですか?」
相当手癖の悪い総司さんが、また手を伸ばそうとする。
「いやもう、その下りマジでしつっこいから。人のモノ勝手に触るなって教わんなかった訳?」
ウザさも頂点に達しその手を払い除けると、総司さんは不機嫌そうに眉の間に縦皺を作る。
そこへ再び、
「総司…いい加減にしなさい。武士たる者弱たる者を助けよ、でしょう?」
山南さんが加勢してくれたけど…あたし的に『弱たる者』とは当たってるだけに結構キツい。
「…山南さんには関係ないじゃないですか。」
「そうでもありません。私も平助に用事があるので、いつまでもネチネチやってるあなたが邪魔なんですよ。」
「…………」
不貞腐れ文句タラタラの総司さんに、虫も殺さぬ仏の笑顔でピシャリと言ってのける山南さん。
ーーうわぁ、ど真ん中のストレート過ぎだろ!怖いわこの人っ!!
言われた本人どころか一同が凍り付き視線を逸らすとか、付き合いの超短いあたしでもこの空気は読める。
普段常識人で、穏和な奴ほど要注意。
…この先、山南さんには絶対逆らってはいけない、と。
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