奇跡は突然やって来る。

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一階は二階と同じく血の海で、青い羽織りの人達が五人いて死体を確認してまわってた。 「沖田組長!?」 「斎藤組長!沖田組長はどうされたんですか!?」 「藤堂組長もご無事で!…って、アレ?」 「その変わった着物は、どうされたんですか?」 「髪…短くなって、色も…。」 ぐったりして背負われた総司さんの心配してたのに、異色のあたしを見て痛いくらいの視線を突き刺さしてくる。 戦いの最中にはなかったツッコミに変な汗が出たけど、それ以上にショックを受けたのが、 組長って、あたしもなの!? という事だった。 『平助』は何度も呼ばれた名前だけど、中には『藤堂』って呼ぶ人もいた。 『藤堂平助』 あたしが勘違いされている人の名前。 名前からして男の人なのに、髪や身につけている物以外は、誰も何も言わない。 『平助』だって思い込んで…信じて疑わないんだ。 黙り込むあたしを、斎藤さんが肘で突く。 「とにかく今は総司が先だ。」 「あ、うん。」 「お前らは作業を続けろ。」 ピシャリと言われてたじろいだ男達は、返事をしてからまた死体に屈み込んだ。 ホッと胸を撫で下ろして死体を避けながら外へ出ると、二階で命令してた綺麗な男が、ここでもあれこれと指示を出して忙しそうにしていた。 、
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