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帰り道は何と無く覚えていたから、手を振って別れた後は大股で元気に歩き出す。
「ひっとりで出っ来るもーん、ひっとりで帰れるもーん。」
作詞作曲はあたし。
周りの目なんか気にせず、吹っ切れたように一人行進を続けた。
その流れで小学校の頃習った歌を口遊む。
「手ぇの平をー太陽にー透かして見れーばー、真っ赤ぁにー流ーれるぅー僕の血ぃ潮ぉー。ミミズだあってオケラだあってぇーアメンボだあってぇー、皆皆ぁー生きているんだ友達なぁーんだぁー、へいっ!」
励まされた分やたら力が漲(ミナギ)って、最後に拳を振り上げた。
すると当然町の皆様の視線が、イタい子を見るものでヒソヒソ囁く声もする。
「母ちゃん、あの人変なお唄」
「これっ、見んでええよし!」
…フン、何とでもお言い。
今日からのあたしは一味も二味も違うんだぜぃ!?
嫌がらせついでに、また息を吸い込み二番を歌ってやろうとした時、
「…流石に虫と友好関係は築けへんのとちゃうか…」
「どわっ!?」
耳元でボソッと聞こえた関西弁に驚いて、1mは前へ飛んだ。
「ビ、ビックリしたあっ!ーーーだぁかぁらっ!いきなり湧いて出るなって毎回言ってんじゃんっ、山崎さんってば!!」
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