青天の霹靂

37/46
前へ
/412ページ
次へ
さっきまでのいい気分も、見ず知らず…に近いあたしを拾ってくれた新選組の皆への感謝の気持ちも、どんどん薄れて冷めていった。 「好きで一緒に歩いてる訳じゃありませーん。帰るトコが同じなだけですぅー。気に入らないなら山崎さんこそ、ごゆっくりどうぞー。お先に御免あさーせ。」 誰が聴いても腹が立つであろうトーンをわざと出し、憎たらしい山崎さんを早足で追い抜く。 ついでにシッシッと、追い払う真似の仕返しをして。 赤の他人から白い目で見られてもへっちゃらだったのに、何でこの人にはこんなにムカつくのかなんて、考えるまでもない。 どうせあたしなんて、からかってストレス発散する為の格好の餌でしょうよ! ブリブリ怒っていると歩く速度は、競歩並みになってきていた。 そんで置いて行ったハズの山崎さんはと言えば。 「………」 付かず離れず、後ろを黙々と付いてくる。 ーーー気まずっ!つーか、鬱陶しいわっ!! 試しに走ったり立ち止まったりしてみたけど、一定の距離は全く変わらないとか…あんたはストーカーか!? 最後の最後で持てる体力を振り絞って全力疾走してみたけど、山崎さんは飄々としていて涼しい表情を崩さない。 やっと頓所の門を潜り抜けた時には、あたしだけの息が相当上がっていた。 膝に手をあて、中腰の姿勢のままゼエゼエ肩で息を吐いていると、後ろから来た山崎さんがすれ違い様、 「プッ…しゃっちもないやっちゃな。」 せせら笑いを浮かべおった。 意味わかんないけど、あれは絶対あたしを馬鹿にして行きやがったな、あんにゃろうめ…
/412ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2279人が本棚に入れています
本棚に追加