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さっきまでのいい気分も、見ず知らず…に近いあたしを拾ってくれた新選組の皆への感謝の気持ちも、どんどん薄れて冷めていった。
「好きで一緒に歩いてる訳じゃありませーん。帰るトコが同じなだけですぅー。気に入らないなら山崎さんこそ、ごゆっくりどうぞー。お先に御免あさーせ。」
誰が聴いても腹が立つであろうトーンをわざと出し、憎たらしい山崎さんを早足で追い抜く。
ついでにシッシッと、追い払う真似の仕返しをして。
赤の他人から白い目で見られてもへっちゃらだったのに、何でこの人にはこんなにムカつくのかなんて、考えるまでもない。
どうせあたしなんて、からかってストレス発散する為の格好の餌でしょうよ!
ブリブリ怒っていると歩く速度は、競歩並みになってきていた。
そんで置いて行ったハズの山崎さんはと言えば。
「………」
付かず離れず、後ろを黙々と付いてくる。
ーーー気まずっ!つーか、鬱陶しいわっ!!
試しに走ったり立ち止まったりしてみたけど、一定の距離は全く変わらないとか…あんたはストーカーか!?
最後の最後で持てる体力を振り絞って全力疾走してみたけど、山崎さんは飄々としていて涼しい表情を崩さない。
やっと頓所の門を潜り抜けた時には、あたしだけの息が相当上がっていた。
膝に手をあて、中腰の姿勢のままゼエゼエ肩で息を吐いていると、後ろから来た山崎さんがすれ違い様、
「プッ…しゃっちもないやっちゃな。」
せせら笑いを浮かべおった。
意味わかんないけど、あれは絶対あたしを馬鹿にして行きやがったな、あんにゃろうめ…
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