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どこへも何も、避難するに決まってる。
これ以上同室にいて、世界に誇るジャパニーズサムライの情けない現実を、垣間見たくはないというものだ。
「どうせすぐにご飯だろうし、それまで男同士仲良くごゆっくりご堪能下さい。あたしは土方さん誘って頑張ってくるからさ。」
「は?土方さんと?」
「頑張るって、まさかっ」
「早まってはいけません!」
部屋を出ようとしたあたしの肩や腕を、三人が慌てて掴む。
「俺にしとけ!」
「俺のが上手いぞ!」
「私が相手しますから!」
あたしの中途半端な言い方もまずかったかもだけど、この流れで行くとどうにも勘違いしてるっぽい。
「…何が上手くて、誰が相手してくれるって?」
怒らないで一応確認しておこう。
「ハイハイ俺!俺は誰にでも優しくて丁寧だぜっ!?」
「ほおー、分け隔て無く優しいなんて、新八さんは立派立派。」
「俺はその上、たっぷり気持ちも乗せてらぁな!」
「ほうほう、左之さんは心も重視すると。」
「私だって、土方さん達よりは体力ありますよっ!」
「そうよねぇ、やっぱ長持ちしてナンボだよねー。…いやー困っちゃうなぁー、誰にしようか迷っちゃうなぁー。」
「俺だろ!」
「いや、俺だ!」
「私ですよ!」
意味あり気に交わされる会話。
乗り気だと思ったのか、期待に膨らんだ表情をする哀れな子羊ならぬ…
「馬鹿な狼共め!」
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