2279人が本棚に入れています
本棚に追加
開き直り胸を張って見せると、土方さんはニヤリ。
「山南さんの〝飴〟はよっぽど甘かったようだな。」
それが肉を〝飴と鞭〟に例えて皮肉ってんのが、否が応でも理解出来た。
「…そりゃもうほっぺが落ちるくらいね。…で?やってくれんの?くれないの?」
挑むように睨むあたしを、土方さんが鼻で笑う。
「いいぜ、その心意気…しかと受け止めてやらあ。だが、後で後悔しても知らねえぜ?」
いつもはあたしに甘々な土方さんが、ゾクリと背筋が凍るほどの殺気を放つ。
…ちょっと、早まったかも知んない…
後悔既に遅し、だ。
早速平助の道着に着替えるように言われ、準備を整え道場へ向かう。
「なぁー、やめとけって。土方さんはお前が相手でも、手加減しねえぜ?」
「しかも、何でも有りの喧嘩剣法だからなぁ…どっから姑息な手ぇ出して来るか、見当もつかねぇしよ。やりにくいったらねえんだ。」
後ろから付いて来る左之さんと新八さんは、あたしを引き止めようとするけど、
「まあ、いいんじゃないですか?一筋縄ではいかない相手もいるって事で、良い体験になりますよ。」
一番邪魔しそうな総司さんが、意外にノリノリだったりする。
「でもよー…これで怪我させてちゃ、山崎さん迎えにやらせた意味、ねーじゃん。」
最初のコメントを投稿しよう!