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……は?
「わ、馬鹿左之っ!」
「あ。」
ピタリと足を止め振り向くと、新八さんが慌てて左之さんの口を押さえている。
「な、何でもない、何でもない!」
「ひょーひょー!(そうそう!)」
んで、ニヘッと笑って誤魔化す二人。
その二人を呆れた顔で見ている総司さん。
ーーどういう事よ?
何て聞かなくてもわかる。
お使い頼まれた…ってのは嘘じゃなかったんだろうけど、あたしを心配した皆が強制的に山崎さんを動かしたらしいと知る。
そっか。だから山崎さん、ベッタリ後を付いて来てたんだ…
「………」
誤魔化された振りをして、クルッと向きを変え道場へとまた歩き出す。
山南さんの言う『大事に想ってる』って、こういう事なんだろうな。
グッと胸が熱くて苦しくなる。
いつだって気にかけてくれるのが嬉しいのに、頼りない存在のままでいる自分が情けない。
絡まる、複雑な気持ち。
「み…平助?どうかしましたか?」
サッと付いて来た総司さんが横に並ぶ。
「…やっぱり、俺…強くなんなきゃなって、思って。」
この場所で平助として生きて行くのなら、ちゃんと皆に認められたい。
どれだけ頑張れば、この人達の足元に及ぶのかはわからないけど。
「…そうですか。では僭越ながら私達にも、お手伝いさせて下さい。」
あたしを受け入れ、穏やかに微笑み見守ってくれる『仲間達』がいるなら。
もう少し心を開いてみてもいいかなって…そう思えたんだ。
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