稽古はツラいよ?

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沖田が不服そうな眼で、永倉と斉藤を睨む。 「言わせて貰いますけど私が真面目にやる時は、腑抜けた根性を叩き直す時だけです。考え無しの土方さんと一緒にしないで下さいよ。」 「んだと?勝手言ってんじゃねえよ。普段から真面目にやれっつーんだ、馬鹿野郎。」 そこは聞き捨てならぬと土方が噛み付き、 「いいですよ、今から真面目に土方さんをぶった斬って差し上げましょう。」 「あ?出来るもんならやってみやがれ、このションベンタレが。」 互いの額をグリグリ擦り合わせ、力の限り押し比べをし始める。 …くだらんなぁ… その成り行きを見て山崎は咳払いをし、 「…お忙しい最中申し訳ありませんが、ご報告させて頂いても宜しいでしょうか?」 今や自分の存在を完全に忘れている男達に声を掛けた。 「おお、そうだった…して、山崎君。み…平助の容体は?」 近藤が先に反応すると、歪み合っていた二人もピタリと動きを止め、皆も一斉に注目した。 「は…先ずは身体に負った傷ですが、転倒や木刀の殴打による擦り傷と打ち身のみです。そちらは手当て致しましたが何分体力の消耗が激しい故、今宵はゆるりと休ませ、明日からの稽古に関しては無理なく抑えた方が良いかと。」
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