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「いたたた…」
「馬鹿だなぁ。」
「あんまりからかってやるなよ、総司。」
「だな。あれで土方さんなりに、結構反省してんじゃね?」
「えー、そうは見えませんけど。あの人、本当に落ち込んだら気持ちの悪い独り言、言い出すんですよね。」
呑気な口調に沖田の唇が尖る。
「反省させるのと追い詰めるのは別もんだろーが。」
左之が呆れて諌めると、
「だって土方さんだって、雅さんを追い詰めたじゃないですか。」
まだ、不満タラタラの様子だ。
「追い詰めたのは精神的にじゃなく、肉体的にだ。」
「そうそう、悪気あっての事じゃないしな。」
「いつまでも庇ってやれないのは目に見えてるし、力入れ過ぎたんだろーよ。」
「今回は大目に見てやれって。」
「むうーー…」
皆が庇えば庇う程、沖田は面白くない。
そこに来て、
「それに沖田さん、副長が仰ったように以後『平助』とお呼び下さい。」
黙って控えていた山崎が一応はやんわりと、しかし口を挟んだが為に…
ピキッと、沖田のこめかみに青筋が浮かぶ。
「はあ?何で山崎さんにまで、そんな事言われなきゃいけないんですか?」
「〝壁に耳あり障子に目あり〟ですよ。副長が仰った意味がわからぬあなたではないでしょう。…見苦しい駄々を捏ねるのは、いい加減およしなさい。」
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