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ここにいる限り極力特別扱いをしない。
そう決めたのは雅の心意気を買う買わないの話しでは無く、それが最良の方法だと信じたからだ。
新選組幹部として居続けるのならば。
生半可な腕では置いておけない理由は、幾通りもある。
八番隊組長の名折れとなっては『平助』に申し訳無く、雅にとっても立場的に非常にマズい。
強くなければ強敵から己れの身すら護れず、その命が危ぶまれる。
要は、いつまでも隠し通せるものではないと言う事だ。
ただでさえ女顔で一部男色や衆道から狙われていた『平助』が本物の女となった事により、隊士らの目が以前に比べ益々怪しくなっているという。
故に、ずっと誰かが側に居て監視し続けるのも不可能であるからこそ、雅を成長させてやらねばならなかった。
そのはずであったが…自身が寝顔にほだされている自覚も十二分にある。
ばっきゃろーめ…ずりーんだよ…
雅を鍛え上げねばと鬼にした心が、ふしゅふしゅ萎んでゆく。
「瓜二つなんだがなぁ…何でおめえだと、ビシッと出来ねえんだか…」
伸ばした手が頬に触れる。
しっとり滑(ナメ)らかで吸い付くような感触が、
「うぉ…やっぱ、やぁらけぇ…」
癖になる程の心地良さだった。
脳裏に浮かぶは、ほぼ裸同然のナリで抱きつかれたあの柔肌。
同じ女でも、今迄抱いた女達とは根本的に肌の質が違う。
…未来の女ってのは、皆こうなのか?
ついムラッとキてしまい、指の腹が盛り上がった薄桃色の唇へ辿り着く。
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