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軽く触れたままついっと指を動かせば、
「…んぅ…」
小さな唸りと共にイヤイヤ小さく首を振る。
一瞬、起こしたかと素早く手を引いたが、
「…うにゃー…」
逃げていた割りに土方側へと寝返りを打ち、また寝息を立て始めた。
「…ふう、危ね…ぇ……………ぶっ!?」
ホッとしたのも束の間、眼前の雅は寝返りのせいで乱れており、襦袢の裾はめくれ太股まで生足を晒しているではないか。
「ーーーーっ、」
真っ赤な顔で視線を逸らし、どうするべきかチラ見すれば、羽織りは抱き込まれている事から断念せざるを得なかった。
仕方なく片手をついて、下敷きにされた反対側に余りのある掛け布団に右手を伸ばす。
作戦としてはそれを被せて、簀巻きならぬ生八つ橋状態に挟むつもりだったのだ。
「…くっ…」
雅に触れないよう、慎重に掛け布団を掴む。
しかし、良かれと思ったその行動が仇となるとは、夢にも思わない。
「うぅーーん…?」
「いっ!?」
見るべからず触るべからずと堪えていたにも拘らず、また急に寝返りを打った雅が、重みを支えていた片腕の内肘部分にぶつかり、土方の屈強な身体はカクンと前のめりに崩れてしまった。
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