奇跡は突然やって来る。

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「平助、斎藤、手間をかけたな。」 そして何故かこの人まで、あたしの頭をポンポンと撫でる。 「ったく、だらしねぇな総司。切り込み隊長のお前がぶっ倒れちまってどうすんだ。日頃の行いが悪りぃんだよ。」 「…うるさいですよ、豊玉さん。」 「ばっ!…そんだけ憎まれ口叩けりゃ上等だ。斎藤、お前は中の指揮を取れ。」 「承知した。」 「山野、新田と安藤の様子見とけ。容態が急変したらすぐに知らせろ、いいな。」 「はい!」 「それから、平助。」 「は、はい。」 流れというか勢いというか、つい返事しちゃってた。 「お前はここで総司を見張っとけ。その態(ナリ)でウロつくんじゃねぇ、以上だ。」 「…はい…承知です。」 これは好都合と素直に喜べなかった。 だって今の言い方、絶対あたしを怪しいって解ってる感じだし。 それぞれが持ち場へ行ったのを見て、深く溜息をついた。 「…平助?」 総司さんが体を横にして、あたしの顔を覗き込んでくる。 「なぁに?…やっぱりお水貰って来ようか?」 ちょっと引き攣りながら笑ってみせると、 「…いや、水はいいよ…。」 そっと手を重ねて握ってきた。 、
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