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『だああぁぁぁーーっ!?』
直後、土方は声にならない叫びを上げる。
辛うじて両手を付き高らかに尻を突き出した、何とも不恰好なお辞儀に見えなくもない姿勢で止まり、雅を潰さず済んだ。
しかし、無事ではなかった。
目に映るは閉じた瞼と長い睫毛。
頬に当たる寝息。
極上過ぎる程柔らかな肉を塞ぐ、己の唇。
まさかのまさか、予想外な事態を招き…
『何じゃこりゃあああぁぁーーーー!?』
衝撃の余り、暫しそのまま固まっていた。
「…ん…んー…」
そして、薄く開いた口から苦し気に声が漏れた時…
『うはあっ!?』
全力で仰け反り、やっと顔を引っぺがす。
ドクドクドクドクドクドクドクドクーーーー!!
早鐘を打つ心の臓。
噴き出る脂汗。
奥底から沸き立つ熱で、全身が燃えるような湯気を出している。
更に、先程の奇妙な姿勢で反り返っていた為、
「お、わわっ、」
背中から後ろへ無様に倒れた。
その騒がしい音でモソモソと動き出す雅。
「ふ…にゃあ…?…んぁ…アレ?何で土方さんが……あたし、寝ちゃってた…?」
まだ眠たそうに何度も眼を擦りながら、起き上がろうと藻掻く土方を横目で見る。
「ーーワザとじゃない!断じてワザとじゃっ!!」
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